日本で生まれ育った私にとって、毎日の生活ルールや習慣は「当たり前」のものでした。ゴミは細かく分別するもの、修理の依頼をすれば翌日には来てくれるもの、静かに暮らすのがマナーだと思っていました。
でも、ハワイで実際に暮らしたことで気づいたのは、その「当たり前」が、実は日本独特のものだったということです。旅行で何度も訪れていたハワイでしたが、暮らすとなると見えてくる景色はまったく違いました。
観光客として過ごしていた頃には気づかなかった、生活のルールや価値観の違い。最初は戸惑うこともありましたが、次第にその違いを理解して、自分なりに適応できていきました。
この記事は、これからハワイで暮らす方、長期滞在を考えている方に向けて、「事前に知っていれば心の準備ができる」という視点で書いています。不安を煽るつもりはありません。ただ、リアルな生活の違いを知っておくことで、移住後のストレスが少しでも減ればと思っています。
ハワイ生活では「日本の感覚」が通用しない理由
ハワイと日本では、そもそも生活の前提が違います。それは単純に「文化が違う」という話ではなく、気候や住環境、サービスに対する考え方が根本的に異なるからです。
まず気候の違いです。日本のように四季がなく、一年中温暖で湿度が低いハワイでは、家の作りも生活習慣も自然と変わってきます。窓を開けっ放しにして風を通すのが普通ですし、洗濯物は外に干せば数時間で乾きます。冬支度や衣替えという概念もありません。この気候が、住まいや暮らし方の基準を決めているのです。
次に、生活スタイルそのものの違いです。ハワイでは家族や友人との時間を大切にする文化が根付いていて、仕事よりもプライベートを優先する傾向があります。そのため、サービス業でも「効率よりも人間らしさ」が重視されることが多く、日本のようなスピード感や細やかさを期待すると、ズレを感じることがあります。
そして住宅やサービスに対する考え方の違いも大きいです。日本では「完璧であること」「迅速であること」が当然とされますが、ハワイでは「そこそこ機能していればOK」という感覚が一般的です。この違いは不便なのではなく、何を優先するかという価値観の違いなのだと、暮らしていくうちに理解できるようになりました。
日本人が特に戸惑いやすい生活ルール・習慣
ゴミ出しルール|日本よりかなりゆるいハワイの分別事情
日本では燃えるゴミ、プラスチック、缶、ビン、ペットボトルなど、細かく分別するのが当たり前ですよね。でもハワイでは、その常識がまったく通用しません。
基本的には「一般ゴミ」「リサイクル」「グリーンウェイスト(庭木など)」の3種類程度で、リサイクルも缶・ビン・ペットボトルなどをまとめて出せる場合がほとんどです。住んでいるコンドミニアムによってはさらにシンプルで、リサイクル専用のシュートがあって、そこに何でも入れるだけというケースもあります。
私がかつて住んでいたワイキキのコンドミニアムでは、各階にゴミシュートがあり、24時間いつでもゴミを捨てられます。曜日や時間を気にする必要がないのは便利ですが、最初は「こんなに適当でいいの?」と不安になったのを覚えています。
一方で、戸建てに住んでいたときは、地域ごとに収集日が決まっていて、指定された大きなゴミ箱を道路脇に出すスタイルでした。ただしそれでも、日本のように何曜日が何ゴミ、という細かいルールはなく、週に1回まとめて回収されるだけです。
最初は罪悪感を感じるかもしれませんが、これがハワイのやり方なのだと割り切ることも大切です。環境意識が低いわけではなく、システムの違いなのです。
騒音に対する感覚が違う
日本では、特に集合住宅だと「物音を立てないように」と神経を使いますよね。子どもが走り回る音や、掃除機をかける時間帯など、常に周囲を気にしながら生活していた方も多いと思います。
ハワイではその感覚がかなり違います。もちろん深夜に大騒ぎするのはNGですが、日中の生活音に対しては非常に寛容です。子どもが走ったり笑ったりする声も「当たり前の生活音」として受け入れられていますし、週末にバーベキューをしたり、友人を呼んで賑やかに過ごしたりすることも珍しくありません。
私自身、最初の頃は日本での習慣が抜けず、掃除機をかけるのも「まだ朝早いかな」「夜遅いかな」と気にしていました。でも隣人に聞いてみると、「全然気にしないよ」とあっさり言われて拍子抜けしたことがあります。
ただし、これもコンドミニアムの雰囲気や住人の層によって違います。日本人オーナーが多い物件では、やはり静かに暮らす傾向がありますし、ファミリー層が多い郊外の物件では、さらにおおらかな雰囲気です。
逆に言えば、日本人は気にしすぎてストレスを溜めやすいとも言えます。「普通に生活している音なら大丈夫」という感覚を持てるようになると、だいぶ楽になります。
修理対応が遅い|ハワイでは「すぐ直る」は期待しない
これは移住者の多くが口を揃えて言う、ハワイ生活の「あるある」です。水漏れ、エアコンの故障、家電の不具合など、何かトラブルがあったときの対応スピードが、日本とは比べ物にならないくらい遅いのです。
日本では、管理会社に連絡すれば翌日か遅くとも数日以内に対応してくれるのが普通ですよね。でもハワイでは、連絡してから実際に修理が完了するまで、1週間から2週間、場合によっては1ヶ月以上かかることもあります。
私の知人が、キッチンのシンクが詰まった時に管理会社に連絡したのですが、業者の手配に数日かかりました。
最初は「え、緊急事態なのでは…」と思いましたが、周りに聞くと「それが普通だよ」と言われて、改めて文化の違いを実感しました。業者側も悪気があるわけではなく、仕事の優先順位や働き方の考え方が違うのです。
だからこそ、日本のスピード感を期待してしまうと、かなりストレスになります。トラブルが起きたら「気長に待つもの」と最初から覚悟しておくと、精神的に楽です。応急処置の方法を自分で調べたり、一時的な対応策を考えたりする力も必要になってきます。
チップ文化は「慣れれば単純」
ハワイで暮らす前、チップ文化に対して「面倒くさそう」「いくら払えばいいか分からない」と不安に思っていました。旅行のときも毎回悩んでいたので、暮らすとなったらもっと大変だろうと思っていたのです。
でも実際に生活してみると、チップは想像以上にパターン化できることに気づきました。レストランでは15〜20%、配達やバレットパーキングでは数ドル、ホテルのハウスキーピングには1泊あたり数ドル、という具合に、ある程度の目安が決まっているからです。
暮らしていると、よく行くレストランやカフェも決まってきます。いつも同じ場所で同じような金額を払うので、自然と習慣になっていきます。旅行のときのように「毎回初めての場所で緊張する」ということもありません。
また、最近ではレジで会計するときに、画面にチップの選択肢(15%、18%、20%など)が表示されることが多く、タップするだけで済むケースも増えています。これも慣れれば何も考えずにできるようになります。
むしろ、チップを払うことで「ありがとう」という気持ちを直接伝えられるのは、悪くないなと感じるようになりました。サービスに対する対価が明確で、お互いに気持ちよくやり取りできる文化だと、今では思っています。
買い物・接客の違い|ハワイのサービスは良くも悪くも大雑把
日本のコンビニやスーパーに慣れていると、ハワイでの買い物やサービスの「ざっくりさ」に驚くことがあります。
たとえばレジでの対応です。日本では商品を丁寧に扱い、お釣りも両手で渡してくれますが、ハワイでは商品をポンポン袋に入れて、お釣りもカウンターに置くだけ、というスタイルが普通です。店員さんは友達のように気さくに話しかけてきますが、仕事の丁寧さという意味では、日本とは明らかに違います。
最初は「雑だな」と感じることもありましたが、これも文化の違いです。ハワイでは「完璧さ」よりも「フレンドリーさ」が重視されるので、接客のスタイルも自然とそうなるのです。
また、商品の陳列も日本ほどきっちりしていません。棚に適当に並べられていたり、値札がなかったり、在庫があるかどうか分からなかったりすることもよくあります。そんなときは、店員さんに直接聞くのが一番早いです。彼らは親切に対応してくれますし、分からなければ奥に確認しに行ってくれます。
こうした「ざっくり感」にイライラするか、「まあいいか」と受け入れられるかで、ハワイ生活の快適度は変わってくると思います。私も最初は戸惑いましたが、今では「これもハワイらしさ」として楽しめるようになりました。
日用品や食料品の価格感や買い物のコツについては、
ハワイでの食品・日用品の買い物事情と節約アイデア で詳しくまとめています。
日本人が楽になる考え方の切り替え方
「日本の常識」を一度手放す
ハワイで暮らし始めて一番大切だと感じたのは、「日本の常識を一度手放すこと」でした。日本のやり方と比較し続けると、どうしても「遅い」「雑」「適当」と感じてしまい、ストレスが溜まってしまいます。
でも、ハワイにはハワイの合理性があります。修理が遅いのは、業者が限られているから。サービスがざっくりしているのは、人間関係を大切にする文化だから。ゴミ分別がゆるいのは、システム自体が違うから。そう考えると、すべてに理由があることが分かります。
私も最初の数ヶ月は「日本ならこうなのに」と思うことが多かったのですが、ある日ふと「ここは日本じゃない」と割り切ることができました。それからは、ハワイのペースに合わせて生活する方が、ずっと楽だと気づいたのです。
もちろん、日本の良さを忘れる必要はありません。ただ、違う環境で暮らすなら、その土地のやり方に合わせた方が、自分自身が楽になります。比較しすぎることは、自分を苦しめるだけなのです。
事前に知っておくと得すること
ハワイ移住や長期滞在を考えているなら、「期待値の調整」がとても大切です。日本と同じクオリティやスピードを期待してしまうと、現実とのギャップに疲れてしまいます。
たとえば、修理対応は遅いものだと最初から分かっていれば、焦らずに済みます。チップ文化も、事前にパターンを知っておけば、戸惑うことは減ります。生活音に寛容な文化だと知っていれば、無駄に気を遣わずに済みます。
私がもし移住前の自分にアドバイスできるなら、「日本基準で期待しないこと」「困るポイントを事前に想定しておくこと」の2つを伝えたいです。知っているだけで、心の準備ができますし、実際にその場面に直面したときの落ち着き方が違います。
また、ハワイで暮らす日本人のコミュニティに参加してみるのもおすすめです。同じような経験をしている人たちと話すことで、「自分だけじゃないんだ」と安心できますし、具体的な対処法も教えてもらえます。
旅行ではなく「暮らす」から見えるハワイ
旅行でハワイを訪れていたときは、美しいビーチ、青い空、穏やかな空気に癒されていました。でも暮らすとなると、見えてくるのはもっとリアルな日常です。
スーパーで買い物をする、洗濯をする、ゴミを出す、修理を依頼する、近所の人と挨拶を交わす。そんな何気ない毎日の中で、ハワイの本当の姿が見えてきます。観光地としてのキラキラした部分だけでなく、普通の生活がそこにはあります。
そして、その生活が合う人もいれば、合わない人もいます。日本のような効率性や丁寧さを求める人には、ハワイは物足りなく感じるかもしれません。逆に、ゆったりとしたペースや人との温かいつながりを大切にしたい人には、とても心地よい場所だと思います。
私自身は、最初の戸惑いを乗り越えた今、ハワイに住んでよかったと心から感じています。確かに不便なこともあります。でも、毎朝窓を開けて爽やかな風を感じられること、近所の人と気軽に挨拶できること、仕事よりも生活を大切にする文化に触れられること。そうした日々の積み重ねが、私にとってかけがえのないものになっています。
まとめ
日本とハワイの生活ルールや習慣の違いは、どちらが優れているという話ではありません。前提が違うだけなのです。
ゴミ出しのルール、騒音への感覚、修理の対応スピード、チップ文化、サービスの「ざっくり感」。こうした違いを事前に知っているだけで、移住後のストレスは大きく減ります。
大切なのは、日本の常識にこだわりすぎず、ハワイのやり方を受け入れること。期待値を調整して、現実を楽しむ心の余裕を持つこと。それができれば、ハワイでの暮らしはもっと豊かで心地よいものになります。
これからハワイで暮らす方、長期滞在を考えている方にとって、この記事が少しでも判断材料になれば嬉しいです。違いを知った上で、自分に合った暮らし方を見つけてください。
(なお、こうした生活スタイルの違いは、ハワイ滞在中の生活費やお金の使い方 にも大きく影響します。ハワイ滞在中の生活費についてはこちらの記事で紹介しています。)
